サブテーマ-3

Face-to-Faceコミュニケーションシステム開発

サブテーマ1と2における最先端のフォトニクスポリマー材料開発の成果をシステムとして結合させ、リアルな映像によるFace-to-Faceコミュニケーションサービスの開発・実証を進めることで、トータルシステムとして新しい産業創出を目指す。


サブテーマリーダー:
当麻 哲哉
(慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科)

本研究課題では、家庭内・建物内にGI型POFを敷設し、日本の隅々まで光の情報通信網を張り巡らせる「光の毛細管」を提案しています。2011年3月、私たちは史上空前の東日本大震災を経験し、首都圏においても携帯電話・電話回線が途絶えたことから、情報インフラの早期回復の重要性、そして、個と個が双方向に結ばれることの大切さを改めて痛感させられました。

2011年12月、被災した日本だからこそ提案できる新たな安心・安全社会の構想を世界に発信するために、「第1回先端フォトニックポリマー国際会議(ICAPP2011)」を立ち上げました。本会議では、世界中の著名な研究者とともに、GI型POFによる「光の毛細管」と高臨場感ディスプレイによって、個と個が結ばれる「Face-to-Faceコミュニケーションシステム」を明確なビジョンとして提唱し、延べ750名を超える方に参加いただきました。高速かつ大口径のGI型POFを用いたPOFのための末端までの光情報通信網、そしてバックライトから液晶パネルまでトータル設計された高臨場感ディスプレイによるシステムは、従来とは全く異なる新たな市場を創出し得るものです。このビジョンは、中心研究者によるiMiD2012での基調講演、また、中心研究者が自ら世界に先駆け創設したプラスチック光ファイバーに関する国際会議POF2012の基調講演でも公開しています。

このトータルシステムは、2012年4月、慶應義塾大学医学部病院に導入されました。システムは、医療において重要な立体視表示が大画面にもかかわらず広視野角で可能であり、色変化・色むらが極めて少ないという圧倒的な映像再現性が医学関係者から高い評価を得ています。臨床医療への活用だけでなく、医学教育においても大いに期待をもって活用が始まっており、その圧倒的な映像再現効果は今後の様々な医学系学会において発表される予定です。今後、医療や教育の現場でのサービスの地域格差を埋める遠隔コミュニケーションシステムとして、そして他分野においても発展が期待されています。

サブテーマ3の研究テーマは下記の通りです。

「超高速・高精細双方向映像伝送技術開発」

例えば、一人暮らしの高齢者が遠隔地の家族とつながり臨場感あふれるFace-to-Faceコミュニケーションを可能とする、高精細映像の超高速伝送技術開発を行います。より自然な、よりクォリティの高い動画像と音声を劣化させることなくリアルタイムで伝送するために、超高速画像伝送機器の開発、超高速画像伝送用GI型POFインターフェースの開発、および遠隔地とのデータのやり取りを行うための超低遅延圧縮伝送技術の開発を行っています。

「高速・低価格家庭内光ネットワーク開発」

全国に高速大容量の光情報通信網を張り巡らし、災害時でも通信が途絶えることのない安心できる国にするためには、伝送速度が上がるに伴うノイズ、発熱などの点で実用上の限界があるとされている安価なメタルのケーブル(UTPケーブル)に代わり、家の外から家庭内のディスプレイまで直接光ケーブルを繋げることが理想となります。通信事業者・ファイバーメーカー・コネクタメーカーなど関連メーカーと連携し、家庭用GI型POF用インターフェース、Radio over Fiber(RoF)技術の開発を進め、POFの優位性を生かした独自の光インターコネクトによる「光の毛細管」の構築を目指しています。

「Face-to-Faceコミュニケーション産業の創出」

従来の通信技術の概念を超えるFace-to-Faceコミュニケーションの実現は、様々な情報が複合する画期的な通信サービス環境をもたらし、新しい産業を生み出す原動力になると期待されます。本開発では、リアルタイム高精細大画面映像の持つ圧倒的な臨場感について、映像パラメータと視覚的効果との関係を明らかにし、システムデザイン・マネジメントの手法によって新しい価値観から新しい産業を創出することを目指します。また、導入したシステムの実績をフィードバックすることにより、更に先進的かつ効果的なアプリケーションの実現へ向けて、検証を進めています。